COLUMN of KEIKO KUREBE

暮部恵子のおしゃべりコラム

2015年9月24日 16時14分

先日、和歌山女子刑務所の看守長のお話を聞く機会がありました。
とても興味深いお話でした。
この方は、ご自分もやんちゃな少年時代を過ごされ、その時出会った熱血漢の保護司の先生に触発されご自分も少年の更生の仕事をしたいとその道を選ばれたそうです。


昔の非行少年は話せばわかるので考え方を変えることが出来たが、最近の犯罪を犯す少年は昔と違って小さい時から虐待をうけ親の愛情を知らずに育ち、少年院の中でも集団の中に入っていけない子が増えてきているため、とても複雑な状態になっているそうです。


そこで、なんとかこの状況を変えていくため、その子たちを集めて特別学級を作りました。
コミュニケーションが取れない子たちに協調性や共感性を身に着けさせようと、シンクロナイズドスイミングを教えはじめました。ほとんどの子がまともな教育を受けていないので泳ぐことすらできない、その子たちを3か月間一日も休まずにプールで指導をし、チームを作ってシンクロが出来るまでに育て上げたそうです。

この熱血先生とシンクロチームのお話は、テレビや新聞にも少年院のウォーターボーイズとして話題になったのですが、この感動のVTRを拝見することができました。


今の教育現場にこれだけ熱い先生がおられるのでしょうか。
教育とはまず親がしっかりと抱きしめて愛情を注いで育てることから始まり、それから地域と一緒に幼稚園、保育園で集団で何かをする事を学び、就学し小中学校で教育の基本を受ける。その当たり前の事が子供たちに欠けているのではないかと思います。全てではありませんが、非行に走る子供は親に問題がある場合が多いそうです。

その親たちも子供の頃両親の愛情を受けずに育ったのでしょう。

少年法が変わってこれからはその親も一緒に刑務官が指導が出来るようになったそうです。

少子化の時代、皆で子供を見守り育てるという事がより必要になってきているのでしょう。


今、この先生は和歌山の女子刑務所におられます。
その実態もたいへん深刻な状態です。
日本で2番目に大きな女子刑務所で500人収容の所に560人入っていてすし詰め状態で、刑務官が170人で足りない状態。女子の犯罪が増えていて女子受刑者はこの10年で3倍。平均年齢47歳、覚せい剤や窃盗などが主で、再犯者も多い。


19歳から最高齢は91歳までいて60歳以上が4分の1。高齢化、老人ホーム化している。
一般社会に戻っても居場所がなくて窃盗などを繰り返し、戻ってくる。
一番多い人で15回も戻ってきている。ある意味ここの方が孫のような刑務官(平均25歳)に世話してもらい、軽度の作業をこなせば芸能人のレクリエーションなどもあり食べる心配もないが、これらはすべて税金で賄われており、一人にかかるお金がかかりすぎなのが現状です。という深刻な話でした。


様々な解決が難しい問題がある社会になってきていると感じました。
私が師と仰ぐ西端春枝先生は、この女子刑務所
の篤志面接員で月に一度訪問され受刑者にお話をされています。

94歳にしてこの仕事が今一番やりがいがあるとおっしゃっています。
先生のお話を聞かれて一人でも多くの方が更生されるのを願ってやみません。