COLUMN of KEIKO KUREBE

暮部恵子のおしゃべりコラム

2012年8月17日 17時12分

とにかく暑い夏です。集中豪雨の夏です。オリンピックの夏です。

なんだか気持ちが落ち着かない忙しい夏です。

 

今年は珍しく土日を挟んで5日間のお盆休みがありました。

お盆が休めて、故郷がある人は苦労して帰っても落ち着ける場所があっていいですね。

私のお盆は毎日台所との格闘です。

 

仏教でも、宗派によりますが我が家ではお盆の間、毎日ご先祖様に精進料理をお供え

します。

 

それを作るのに朝早くからおおわらわです。仏壇のある家に嫁いだ宿命ですね。

42年間、盆と正月は家を離れられません。

 

テレビに映る旅行に行かれる新幹線や車の列、海外へ遊びに行かれる空港の様子をい

いなぁと眺めながら、毎日ご馳走を作っています。

 

 若いころは大変うらやましく思いましたが、このごろは暑いのにご苦労さんやねぇ...

という感想に変わってきています。

年を取った証拠でしょうか。

 

 家におりますので、三度の食事や来客などの食事を作ったり、日ごろしないところの

掃除をしたりという家事の合間に、ほっとして自分の部屋でクーラーをつけて、本を

読むのが唯一の楽しみです。

 

 この頃女性を書いた本を何冊か読みました。

『女性宰相待望論』と『賢い女性が二人いると会社は伸びる』という本です。

オリンピックも今回は女性が大活躍でしたね。

平成は女性の時代だといわれています。

昭和は戦争があって男性の時代、大正は大正ロマンという言葉があるように女性の時

代、明治は維新や戦争で男性の時代、というように交互に時代が変遷しています。

という事で,この仮説によると平成は女性の時代なのです。

 

 さて、今大変楽しく読んでいる小説に宮本輝の『にぎやかな天地』という本があります。

最近宮本輝が面白くて、色々読み漁っていますがこれは特に面白く皆さん読んでみて

ください。

 

発酵食品のお話です。

 

 日本の発酵食品を残していくために豪華装丁の本を作ることを依頼された青年が、

様々な食品に出会う中で成長していくお話です。

 

彼はまず一番身近な糠みそに目を付けて、おばあちゃんが漬けていた通りの方法でぬ

か漬けを作ります。

そして「この糠の中には、何兆個もの酵母菌が頑張って働いて、サケの頭も分解して

しまうんや」という事に気づくのです。

 

和歌山の湯浅のお醤油、琵琶湖の鮒ずし、枕崎の鰹節など様々な食品を何百年も前か

ら発酵菌等の微生物を利用することによって、おいしい、体にいい食品にしていく技

術を継承していくための本作りに仲間のカメラマンや、本を依頼した老人、料理人、

あるいはおばあさんの縁で出会った女性などを絡めながら面白い話が進んでいきます。

 

まだ読み終えていないのですが、本当に面白い小説を読んでいると、電車も乗り過ご

しそうになりますし、上下巻の下巻に入ると、終わるのがもったいなくなってきます。

 

早く読みたいし、終わってほしくないし複雑な気分です。

日本の原料を使ったクレコス化粧品を通じて日本の伝統文化、自然を次の世代に伝え

ていきたいと考えている私としては、大好きな鮒ずし(くさいという人もあります

が)という熟れ鮨とともに、この面白い小説に登場する、糠づけ(たまにきゅうりの

糠づけをたくさん作って会社に持ってきます)、本物の醤油、本物の鰹節を日本の奥

の深い伝統食として伝えていきたいと思います。

 

そのためには、まず私がそれらを使ってきちんと手を抜かないお料理をしないといけ

ませんね。

 

 

頑張ります!!

 

 

300px-Funazushi.jpg (鮒ずし)